ウクライナの外貨準備高と中銀の毎月の為替介入額の推移

ウクライナの外貨準備高の推移

外貨準備高とは、政府や中央銀行が保有している外国通貨の総額のことを指します。これは主に以下の目的で使用されます:

  • 通貨の安定:外貨準備高は、国内通貨の価値を安定させるために使われることがあります。例えば、通貨が急激に下落するリスクがある場合、外貨準備を使って市場に介入し、通貨を買い支えることができます。
  • 貿易や国際決済のため:外貨準備は、外国との貿易における支払いや借金の返済、国際的な投資などの際に必要な資金源となります。
  • 信用力の指標:外貨準備高が十分にあると、外国からの信頼を得やすく、経済の安定性を示すものと見なされます。

ウクライナ中央銀行は、毎月1日時点での外貨準備高の総額を公表しています。それによると、2025年3月1日時点での外貨準備高は401億4547万ドルであり、先月1日からは28億6417万ドル減少しました。中銀によると、これは中銀の為替介入と、ウクライナが外貨建てで債務を返済したことに起因するとのこと。

出典:ウクライナ中銀のデータより作成

ウクライナの為替介入の推移

為替介入とは、政府や中央銀行が自国の通貨の為替レートを調整するために、市場に直接介入することを指します。例えば、急激な為替変動が発生しているときに、中央銀行が外貨準備を使って為替市場に介入し、自国通貨の価値を調整することがあります。

為替介入は通常、短期的な市場の安定を目的として行われますが、過度の介入は市場に対して混乱を招く可能性もあるため、慎重に行われます。介入のタイミングや規模には、経済の状態や政策目標が大きく影響します。

2025年2月のウクライナ中銀の為替介入額は30億5811万ドルでした。

中銀は、2022年のロシアによる大規模侵攻以降、大規模な為替介入(ドルなど外貨を売り、フリヴニャを買い支える)を行っています。この成果もあり、ウクライナの通貨フリヴニャは、2022年9月から2025年3月現在の期間は1ドル35〜43フリヴニャのレンジで比較的安定的に推移しています。引き続きこの為替介入を続けフリヴニャを維持するには、安定した外貨準備高の推移が必要であり、これはつまり海外からのウクライナへの外貨資金(つまり国際援助)の行末に大きく依存していると言えます。

出典:ウクライナ中銀のデータより作成

通貨フリヴニャについてはこちらの記事もご覧ください:

ウクライナの通貨は「フリヴニャ」(フリブニャ)と言います。国別通貨コード一覧(ISO 4217)ですと、UAHと表記され、通貨記号は「₴」です。本記事では、フリヴニャの歴史およびレートの推移のほか、紙幣および硬貨の種類について解説していきます。