ウクライナの通貨「フリヴニャ」を紹介、紙幣および硬貨の紹介も

ウクライナの通貨は「フリヴニャ」(フリブニャ, гривня)と言います。国別通貨コード一覧(ISO 4217)ですと、UAHと表記され、通貨記号は「₴」(これはフリヴニャの先頭の文字であるキリル文字「г」の筆記体に、横線2本を入れたもの)です。

本記事では、フリヴニャの歴史およびレートの推移のほか、紙幣および硬貨の種類について解説していきます。

出典:https://bank.gov.ua/ua/uah

フリヴニャの歴史

1991年にウクライナがソ連から独立後、計画経済から市場経済への以降が始まりました。当時、ウクライナではソ連のルーブルが流通していましたが、自国の通貨を持つ必要性に迫られました。

そこで、ウクライナでは1992年から再利用可能なクーポンとして「カルボヴァネツ」(カルボーヴァネツィ)の流通が開始されました。しかしながらその後、急激なインフレに見舞われる中で、新たな通貨として「フリヴニャ」が1996年に導入されました。その際、10万カルボヴァネツ=1フリヴニャの比率で換金されました。

1992-1996年発行の「カルボヴァネツ」 出典:https://uk.wikipedia.org/wiki/Український_карбованець

「フリヴニャ」とはもともと、キーウ・ルーシ時代に銀や宝石などの重量を測る単位でした。その後、1917年に成立したウクライナ人民共和国では、通貨の一つとして使われた歴史もあります。

フリヴニャのレートの推移

1996年の導入当初は、1ドルにつき1.8フリヴニャ(UAH)でした。しかし、1998年にはロシア財政危機の煽りを受け、ウクライナ経済も大きなダメージを受け、これにより1 ドルが約5 UAHまで下落。その後、安定した推移を見せていたものの、2008年のリーマンショック以降の金融危機で、1ドルで約8 UAHまで下落。さらに、2014年のマイダーン革命、クリミア危機、ドンバス戦争により1ドルで約23-38 UAHまで下落。そして2022年以降は1ドル約40 UAHまで下落しました。

戦争の影響により、一時的に対ドルレートが固定されていた期間もあります(固定相場制)。例えば、2022年2月24日から7月20日の期間は1ドルが29.2549 UAHに固定されていました。また、2022年7月20日から2023年10月2日までは、1ドル36.5686 UAHに固定されていました。この期間のときは、固定されたレート(公式のレート)と、街中でフリヴニャとドルを両替する際のレートが大きく乖離し、市民の生活に大きな影響がでていました。

フリヴニャの紙幣の種類

2025年3月現在、有効なフリヴニャ紙幣は第3シリーズ(発行期間:2003年〜2018年)と、第4シリーズ(2015年〜)になります。第4シリーズの大きな特徴の一つは、紙幣に偽造防止としてストライプ型のホログラム加工が追加されたことです。

  • 第3シリーズで発行された紙幣の種類は以下の通り:1 UAH、2 UAH、5 UAH、10 UAH、20 UAH、50 UAH、100 UAH、200 UAH、500 UAH

第3シリーズの紙幣 出典:https://uk.wikipedia.org/wiki/Гривня

  • 第4シリーズで発行されている紙幣の種類は以下の通り:20 UAH、50 UAH、100 UAH、200 UAH、500 UAH、1000 UAH

第3シリーズの紙幣 出典:https://uk.wikipedia.org/wiki/Гривня

上記の通り、1 UAH紙幣、2 UAH紙幣、5 UAH紙幣、10 UAH紙幣はすでに発行されておらず、街中から消えつつあります。しかしながら、2025年3月現在、これら4つの紙幣はまだ決済手段として有効であり、使うことができます。

記念紙幣

2023年2月に20フリヴニャの記念紙幣が、2024年2月に50フリヴニャの記念紙幣がそれぞれ30万枚限定で発売されました。20フリヴニャは「忘れるな、そして許すな」とのテーマで、50フリヴニャは「団結は世界を救う」をテーマとしています。ウクライナの紙幣として初めての縦型の紙幣です。記念紙幣ではありますが、決済通貨としても有効です。

出典:20フリヴニャ50フリヴニャ

フリヴニャの硬貨の種類

2025年3月現在、ウクライナで決済に使用できる(有効な)硬貨は次のとおり:10コピーカ、50コピーカ、1 UAH、2 UAH、5 UAH、10 UAH

コピーカ(копійка)とはフリヴニャ(UAH)の補助単位であり、1フリヴニャが100コピーカになります。なお、「コピーカ」という単語はロシア的であるとして(ロシアの補助通貨単位「コペイカ」と同じルーツ)、ウクライナは今後コペイカを「シャフ」(Шаг)に変更しようとしています。

また、以前には、1コピーカ、2コピーカ、5コピーカ、25コピーカが流通していましたが、これらは廃止され、決済手段としても使用することはできません。また、アルミニウム青銅で鋳造された1フリヴニャ硬貨(1997年から2018年に鋳造)も、すでに廃止され、決済手段としては利用できません。