ウクライナの首都キーウを訪問した際に、使うことができる公共交通機関を本記事にて紹介します。
地下鉄(メトロ)

キーウでは地下鉄のことをメトロ(Metro)と呼称します。メトロは一番便利かつ安全、安定的な運行がされており、キーウでの生活に欠かせない交通手段です。駅への入場は8フリヴニャ(約30円)と安く、どの駅で降りても値段は変わりません。
キーウを初めて訪れる外国人にとっても一番利用しやすい公共交通機関です。キーウでは基本的にはメトロとタクシーが外国人旅行者にとっての交通の足となることでしょう。
メトロの乗り方は下記の記事にまとめてあるので、ぜひご覧ください:
乗合バス
ウクライナでは乗合(のりあい)バスのことを、マルシュルートカ(маршрутка, marshrutka)と呼びます。キーウの乗合バスは見分けるのが簡単で、街中を走っている黄色いバスのことを指します(たまに白色などの他の色のときもありますが)。


乗合バスに乗りたい場合、バス停に立ち、乗りたいバスが来た際に運転手に見えるように手を挙げて停まってほしいことをアピールします。これがないと、バス停によってはバスが停まらずに、通過してしまします。
乗合バスに乗ったあと、入り口で運転手に1回分の料金を支払います。2025年3月現在、キーウでは一般的に1回の乗車運賃は15フリヴニャ(約55円)です。もし500フリヴニャや1000フリヴニャの高額紙幣を出すと釣り銭を準備するのが大変なため、運転手からは嫌がられる可能性があるので、事前に財布に少額の紙幣や硬貨があるか確認しましょう。なお、乗合バスではGoogle Pay、Apple Pay、クレジットカードなどでの決済は基本的にはできません。
乗合バスから降りる際は、降りたいバス停に差し掛かる手前で、運転手に聞こえるように「На зупинці! (Na zupyntsi!、ナ・ズプィンツィ!)」と大声で叫んでください。そうすると、運転手が乗合バスを止めてくれます。もし「ナ・ズプィンツィ!」と叫ばない場合、そのバス停に誰もいない場合は、そのままバスは停まらずに先に進んでしまいます。ですので、「ナ・ズプィンツィ!」と叫ぶか、それが難しい(恥ずかしい)場合は、隣の乗客に代わりに言ってもらうか、運転手のそばまで行って次のバス停で停まってくれといいましょう。
乗合バスに乗る前は、バスに掲示されている行き先と、乗合バスの番号が正しいものかしっかりとチェックしましょう。また、次の乗合バスが何時何分にくるかや、何分間隔で運行されているかは、バス停で他の人に聞くか、Google Mapでの検索、またはアプリなどからチェックしましょう。
路面電車
キーウでは路面電車(市電)には2種類あります。通常の路面電車と、高速路面電車(いわゆるライトレール)です。

通常の路面電車への乗り方は、乗合バスへの乗車に似ています。路面電車は、大きな道路の端を通っており、そこに設置されている路面電車の停留所に立って、待ちます。路面電車が来たら、ドアが開くので、車内に入り、そこに設置されているターミナルに、自らのスマホをかざすと、Google PayまたはApple Payにて決済が完了します。またはKyiv Digitalのアプリ上にて購入したQRコードをターミナルにかざして、決済します。2025年3月現在、乗車料金は1回あたり8フリヴニャです。
乗合バスとは違い、路面電車はすべての停留所に停車しますので、目的地についたら、その停留所で降りましょう。
「高速路面電車」は、「通常の路面電車」とは違い、線路区間に車などは侵入できず、路面電車のみがその区間を走ります。キーウでは2路線あります。停留所は、電車の駅に造りが近く、停留所に入場する際に、料金を支払います。支払い方法は、スマホのタッチ決済(Google Pay、Apple Pay)か、QRコード(Kyiv Digitalのターミナルまたはアプリ)にであり、乗車料金は1回あたり8フリヴニャです。
トロリーバス
旧共産圏の都市では、トロリーバスが公共交通機関として有名です。一部都市では廃止されたところもありますが、キーウでは未だに現役です。トロリーバスとは、「道路上空に張られた架線から給電しながら走るバス」のことを指します。

出典:https://uk.wikipedia.org/wiki/Київський_тролейбус
乗り方は「通常の路面電車」に近いです。道路に設置されている停留所にトロリーバスが来たら、車内に入り、そこに設置されているターミナルに、自らのスマホをかざすと、Google PayまたはApple Payにて決済が完了します。またはKyiv Digitalのアプリ上にて購入したQRコードをターミナルにかざして、決済します。2025年3月現在、乗車料金は1回あたり8フリヴニャです。
トロリーバスはすべての停留所に停車しますので、目的地についたら、その停留所で降りましょう。
トロリーバスの特徴は車内が広いことです。大きい荷物やベビーカーなどがある場合は、トロリーバスは便利な交通手段です。しかしながら、乗合バスなどと比べて、バスの速度が遅いのがデメリットといえます。
バス
「乗合バス」とは違い、通常のバスもキーウ市内を走っています。ここでのバスはトロリーバスから「トロリー」を抜いたもの、が理解としては近いでしょう。つまり、「道路上空に張られた架線から給電する」のではなく、ガソリン(または電気)で走るバスのことを指します。
乗車方法、支払い方法、降車方法はトロリーバスと同一です。

車内の支払いターミナル。ここにスマホをかざすか、QRコードを読み込ますことで決済が完了する。 出典:https://kyivcity.gov.ua/news/u_stolitsi_zapustili_5_novikh_avtobusnikh_marshrutiv__mikola_povoroznik/
市内鉄道
キーウ市内にはЕлектричка(Elektrychka、エレクトリーチカ)という市内鉄道(都市鉄道、アーバンライン)も走っています。これは環状線となっており、1時間に1本(ピーク時には30分に1本)の間隔で運行されています。市内鉄道の運行時間はこちらから確認できます。

出典:https://uk.wikipedia.org/wiki/Київська_кільцева_електричка
市内鉄道の駅では、入り口に設置されている端末でのスマホのタッチ決済(Google Pay、Apple Pay)か、QRコード(Kyiv Digitalのターミナルまたはアプリ)になります。乗車料金は1回あたり15フリヴニャです。
市内鉄道のデメリットは、キーウの中心部を通らない環状線のため、アクセスが悪いことです。そのため、乗客が少なく、乗車のための待ち時間が長くなってしまっています。また車内にはエアコンがないので、特に冬は車内が非常に寒く不便です。
タクシー
キーウではタクシーの配車アプリの利用が一般的です。配車アプリの使い方については下記の記事を参照してください:
その他
上記を総合しますと、ウクライナに初めて来る外国人旅行者にとっては、地下鉄(メトロ)とタクシーの利用が一番簡単でしょう。

この地図の緑線、青線、赤線は地下鉄、空色の2つの路線は高速路面電車、黄色い環状の路線は市内鉄道を指す 出典:https://guide-old.kyivcity.gov.ua/en/subway-map
なお、公共交通手段のリアルタイムの運行状況は、Easy Wayというアプリから確認することができます。
Easy Way:Google Play、App Store
2025年3月現在、公共交通機関に乗っている際に空襲警報が発令された場合の、対応は次の通りです:
- メトロ:地上走行区間は運行停止
- 乗合バス:基本的には運行は止まらない
- 路面電車、トロリーバス、バス、市内鉄道:基本的には近くの停留所で停車、乗客は外に出て近くの防空壕へ避難が推奨される
- タクシー:基本的には運行は止まらないが、タクシーの運転手との交渉次第
また、戦時中につき、キーウでは夜間外出禁止令が発令されており、深夜0時から早朝5時は外出ができず、タクシーを含めた全ての交通機関は運行を停止しています:
なお、キーウ郊外にあるボリスピリ空港からキーウの旅客駅(中央駅)まで、電車が通っています。2025年3月時点では運行を中止していますが、停戦後、航空便が再開されましたら、それに合わせて、この電車も再開されるでしょう。ボリスピリ空港から、キーウ市内に行くには、この電車またはタクシーがおすすめです。