キーウの地下鉄(メトロ)の乗り方

ウクライナの首都キーウ(キエフ)では地下鉄のことを「メトロ(Metro)」と呼んでいます。メトロは全部で52駅があり、1年間で3億2000万人が利用しています(2021年のデータ)。本記事では、メトロの乗り方について解説していきます。

キーウ地下鉄の地図(上記の緑線、青線、赤線) 出典:https://guide-old.kyivcity.gov.ua/en/subway-map

地下鉄(メトロ)のメリット

メトロのメリットは何といっても、その安定的な運行にあります。キーウ市内にはメトロのほか、公共交通機関としてバスやトロリーバス、路面電車がありますが、それらは遅延などが頻繁にあり、定刻通りの運行は望めません。その点、メトロは、ピーク時には約2分で、オフピーク時でも約10分に1回は電車が来ます

また、メトロは、2025年3月現在、1回の乗車につき8フリヴニャ(約30円)と格安です。メトロの駅に入場する際に、8フリヴニャを払うだけであり、どの駅で降りても価格は変わらないので、便利です。

また、ウクライナの多くのメトロの駅は地下深くにあります。そのため、戦時中では防空壕代わりにもなるため、他の公共交通機関と比べて、移動時の安全性(ロケットやドローンに当たらない確率)は格段に高いといえます。

メトロのマイダン・ネザレージュノスチ(独立広場)駅

空襲警報時のメトロの運行状況

2025年3月現在、キーウのメトロには、青線、赤線、緑線の3つの路線があり、3つの路線の駅の数を合計すると52になります。ほとんどの駅は地下にありますが、赤線の6つの駅(ドニプロ駅、ヒドロパルク駅、リヴォベレージュナ駅、ダールヌィツァ駅、チェルニヒウシカ駅、リソヴァ駅)だけは地上に駅が設置されています。

キーウ市内にて空襲警報が発令された場合、青線は問題なくそのまま運行されます。しかし赤線は、地上区間であるドニプロ駅〜リソヴァ駅の区間は運行を停止します。また、緑線も、ヴィドゥブィチ駅からスラヴティチ駅の間で電車が地上を通る(ドニプロ川に架かる端の上を通る)ため、その部分は運行を停止します。よって、緑線は、スィレツィ駅からヴィドゥブィチ駅の間の運行(キーウの右岸地区)と、スラヴティチ駅からチェルヴォヌィー・フチル駅の間の運行(キーウの左岸地区)になります。

また、空襲警報発令時には、メトロの駅への入場ゲートが開放され、お金を支払うことなく無料で駅内に入場することができます。そのため、空襲警報時には多くのキーウ市民がメトロの駅に避難しに来ます。

メトロの乗り方

メトロの駅の入り口には、ゲートが設置されています。そのゲートの通過には以下の3つの方法があります:

  • クレジットカードのタッチ決済
  • QRコード
  • 係員に通してもらう

クレジットコードのタッチ決済は、一番簡単な入場方法です。入場ゲートにある読み取り端末に、自分のスマホをかざすことで、Apple PayまたはGoogle Payで決済できます。入場料の8フリヴニャの決済完了と共にゲートが開き、駅に入場できます。

改札のタッチ決済対応端末にスマホをかざして入場する

QRコードでの入場方法には、主に2つの種類があります。1つ目は、駅に備え付けられているターミナル「Київ Цифровий (Kyiv Digital)」から、「駅の入場」を選び、その場で入場料を現金またはクレジットカードで支払います。その後、QRコードが発見されるので、それを入場ゲートの端末にかざすことで、駅に入場できます。2つ目の方法は、スマホに「Київ Цифровий (Kyiv Digital)」のアプリをインストールしておくことです。そのアプリ内で入場料金をGoogle PayまたはApple Payで支払うことで、QRコードがアプリ上に表示されます。それを入場ゲートの端末にかざし、入場します。

メトロの駅内になるKyiv DigitalのターミナルでQRチケットを購入可能

Kyiv Digitalのアプリ:Google PlayApp Store

Kyiv Digitalのアプリより。「Buy QR Ticket」を選択後、購入したいQRチケットの数を選択し、Apple Payで支払う。

購入したQRチケットを、改札のQRコード読み取り機にかざして、入場する

年金生活者や退役軍人は特別な証明書を持っているので、それを見せることで、係員に通してもらい、無料で駅に入場できます。

なお、駅に入場する際に一緒にもちこめるものは、スーツケースの大きさのものを2個まででしたら特に問題はありませんが、それ以上の大きさや個数の荷物を持っての駅への入場は禁止されています。メトロ利用規則についてはこちらを参照ください。

キーウのメトロの運行時間

2025年3月現在、各駅の始発時間および終電時間は次のとおりです。なお空襲警報時には前段の通り、一部区間での運行が取りやめになるため、場合によっては終電が早まる可能性があります:

  • 赤線アカデムミステチコ駅:リソヴァ行き始発05:51、リソヴァ行き終電22:30、当駅着始発06:15、当駅着終電23:08
  • 赤線テアトラリナ駅:リソヴァ行き始発05:56、リソヴァ行き終電22:50、アカデムミステチコ駅行き始発05:54、アカデムミステチコ行き終電22:48
  • 赤線フレシチャーティク駅:リソヴァ行き始発05:58、リソヴァ行き終電22:52、アカデムミステチコ駅行き始発05:52、アカデムミステチコ行き終電22:46
  • 赤線リソヴァ駅:当駅着始発05:55、当駅着終電23:08、アカデムミステチコ駅行き始発05:34、アカデムミステチコ行き終電22:30
  • 青線ヒローイウ・ドニプラ駅:テレムキ行き始発05:30、テレムキ行き終電22:30、当駅着始発06:04、当駅着終電23:05
  • 青線マイダン・ネザレージュノスチ駅:テレムキ行き始発05:46、テレムキ行き終電22:45、ヒローイウ・ドニプラ行き始発05:47、ヒローイウ・ドニプラ行き終電22:50
  • 青線プロシチャ・ウクラインスキフ・ヘローイウ駅:テレムキ行き始発05:48、テレムキ行き終電22:47、ヒローイウ・ドニプラ行き始発05:45、ヒローイウ・ドニプラ行き終電22:48
  • 青線テレムキ駅:当駅着始発06:07、当駅着終電23:05、ヒローイウ・ドニプラ行き始発05:57、ヒローイウ・ドニプラ行き終電22:30
  • 緑線スィレツィ駅:チェルヴォヌィー・フチル行き始発06:00、チェルヴォヌィー・フチル行き終電22:30、当駅着始発06:11、当駅着終電23:06
  • 緑線ゾロチ・ヴォロタ駅:チェルヴォヌィー・フチル行き始発05:49、チェルヴォヌィー・フチル行き終電22:41、スィレツィ行き始発06:00、スィレツィ行き終電22:56
  • 緑線パラツ・スポルトゥ駅:チェルヴォヌィー・フチル行き始発05:51、チェルヴォヌィー・フチル行き終電22:43、スィレツィ行き始発05:58、スィレツィ行き終電22:54
  • 緑線チェルヴォヌィー・フチル駅:当駅着始発06:22、当駅着終電23:13、スィレツィ行き始発05:57、スィレツィ行き終電22:25

出典:http://metro.kyiv.ua/node/103

なお、ウクライナでは現在各都市に夜間外出禁止令が発令されています。キーウでは深夜0時から早朝5時の外出が禁止されているので、メトロの最終便を逃さないよう、注意が必要です。詳細は以下をご覧ください:

2022年2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、ウクライナのほとんどの地域では夜間の外出に対する規制が強化され(夜間外出禁止令の発令)、厳しい治安対策が取られています。この記事では、ウクライナの夜間外出禁止令が導入された背景やその影響、現在の発令状況について詳しく解説します。

メトロの乗り換え

ウクライナのメトロでは、プラットフォームが違うと駅名が変わるのが特徴です。

例えば、赤線から緑線に乗り換えるには、赤線テアトラリナ駅で降り、そこから連絡通路をわたることで緑線ゾロチ・ヴォロタ駅まで移動(乗り換え)できます。日本ではこのような場合、駅名はどういつですが、ウクライナには別々の名前が割り振られています。

他に路線間の乗り換えが可能な駅は次のとおりです:

  • 赤線フレシチャーティク駅と青線マイダン・ネザレージュノスチ駅
  • 青線プロシチャ・ウクラインスキフ・ヘローイウ駅と緑線パラツ・スポルトゥ駅