ウクライナでは、日本と同様、SNSやモバイルメッセンジャーを使ってのやりとりが人気です。本記事では、それらの中からウクライナで一般的に使われているものを紹介します。
Instagram(インスタグラム)

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Instagram
ウクライナ人の中で若者向けに一番人気のあるSNSといえば、Instagramでしょう。自分が撮った写真やビデオを自らのInstagramページに投稿したり、Instagramのチャット機能で、友達同士のコミュニケーションをとることに利用されます。
また、Instagramを通じてのWebマーケティングも盛んで、副業やお小遣い稼ぎとしてInstagramを積極的に活用する人も多い印象です。
Facebook(フェイスブック)

Facebookは、ウクライナでは15年ほどずっと人気のSNSです。年齢が上な人の利用が目立ちますが、ウクライナの政府関係者や政府機関がコメントをよくFacebookを通じて発表することもあり、ウクライナに関する情報取得において、Facebookはいまだに大きな地位をもっています。
またFacebook Messangerも、ウクライナ人のモバイルメッセンジャーアプリとして、広く利用されています。
Threads(スレッズ)

Meta社が2023年7月にリリースしたテキスト中心のSNS。X(旧Twitter)と同じように、最大500文字のテキストを共有できるほか、写真やビデオも共有できます。ウクライナ人はMeta社のInstagramやFacebookを利用している人が多いため、Threadsのリリースと共に、利用を始めた人が多かった印象です。
またX(旧Twitter)の利用を避けたい一部のウクライナ人が、Threadsを好んでいる印象もあります。これはX(旧Twitter)を買収したイーロン・マスク氏に対し、反感をもつウクライナ人が一定数いるためです(マスク氏はウクライナへの過激な言動で知られる)。
TikTok(ティックトック)

日本と同様、若者やティーンエイジャーからの圧倒的な支持を得ています。世界では安全保障上の観点から、TikTokの利用に制限を課している国もありますが、ウクライナでは特にTikTokの危険性はあまり一般的には議論されていない印象があります。よって、2024年2月現在、特にTikTokに対する利用の制限等はウクライナでは何もありません。
Telegram(テレグラム)

出典:https://play.google.com/store/apps/details?id=org.telegram.messenger&hl=ru
ウクライナ人が一番よく使うインスタントメッセンジャーアプリです。Telegramは、2017年ごろからウクライナで普及し、今ではほとんどの人のスマホにインストールされていると言えるでしょう。
友達と気軽にチャットができるとして人気です。電話番号やQRコードを通じて、相手を登録できます。また、電話やビデオコールにも対応。可愛いスタンプも大量に用意されています。また、相手とのチャットを完全に削除(自分と相手の画面から削除)することができるなど、メッセージの暗号化やセキュリティ機能が強化されているのが特徴です。
ウクライナ国内では、Telegramは情報の交換だけでなく、グループチャットやボットによるサービスも利用されています。例えば、政治ニュースや速報を伝えるグループ、ビジネス関連のコミュニティなどが活発に運営されています。
しかしながら、Telegramがロシアと関係があるのではとの疑惑が長年あり、これが政治家の間にて問題視されています。Telegramの創業者はロシア人のパーヴェル・デューロフ氏です。デューロフ氏はもともとはロシアやウクライナなどで人気を博していたSNSアプリ「VKontakte(フコンタクテ)」の創業者でした。しかし、2014年以降、ロシア政府との対立もあり、Vkontakteから追放されました。その後、Telegramを立ち上げ、こちらも世界的に大人気のメッセンジャーアプリへと成長させました。
デューロフ氏は現在は世界を転々としており、そこからTelegramの開発チームを動かしいるものと見られています(注:2024年8月にフランスで逮捕、現在フランスから出国が認められていない)。デューロフ氏自身は自らのリベラル的(リバタリアン的)と、ウクライナとロシアとの問題には比較的中立的な言動でしられています。しかしながら、デューロフ氏自身はロシア人であり、また開発チームには多数のロシア人が存在しているであろうこと、またロシアでもTelegramは人気アプリであり、その運用においてたびたびロシア政府からの情報の開示請求において協力をしている可能性があることなどから、ウクライナでのTelegramの利用に懸念があがっています。
2024年2月現在は、ウクライナの政治家などはTelegramを利用しないように求められているだけで、一般人の利用は禁止はされていませんが、今後の事態の推移には注意が必要です。

ウクライナのメディアが運営するTelegramチャンネル。空襲警報の発令や、政治家の言動などの最新ニュースを確認できる。
出典:Telegram @TCH_channel
Viber(バイバー)

正式名称は「Rakuten Viber」で、日本の楽天ブランドのメッセンジャーアプリです。Telegramが普及する前は、Viberがウクライナでは一番の人気でした。その後、Telegramに勢いは奪われますが、2024年2月現在でも、友達とのチャットや電話においてViberが使われるケースもよくあります。
またViberは、企業や公的機関が連絡をする上で、よく使われます。例えば家電量販店で電話番号を登録した場合、その人向けにViberを通じて、広告が送られることがよくあります。そのため、Telegramとの棲み分けができていえるといえます。Viberもまた、ウクライナ人のほとんどのスマホにインストールされています。
Viberはもともとはイスラエルで開発されたアプリであり、それを2014年に楽天が買収しました。現在、Viberのオフィスはウクライナにも置かれています。Viberは、ウクライナのほか、ベラルーシ、ブルガリア、ギリシャ、セルビアなどで人気のアプリとなっています。
Signal(シグナル)

2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ウクライナではTelegramの利用の危険性が叫ばれるようになりました。その中で、特にウクライナの政府や軍関係の間での利用が広まったのがSignalです。Signalは、すべての通信内容がエンドツーエンドで暗号化されるため、非常に高いセキュリティレベルが確保されるといわれています。
しかしながら、Telegramほどの利便性(特にグループチャットを通じてのニュース配信やスタンプの種類)はないため、完全にTelegramを代替するまでには至っていません。
結論
上記の通り、日本でも同様に人気のあるアプリがウクライナでも人気です。日本との大きな違いというと、X(旧Twitter)はあまりウクライナでは人気がないことです。また、以前はウクライナではロシア製のSNSであるVKontakte(フコンタクテ、通称:VK)が人気でしたが、2017年に利用が禁止されました。
ウクライナに行く際やウクライナ人と交流する際は、上記で挙げた人気のSNSおよびメッセンジャーアプリをぜひ利用してみてください。