ウクライナ語、ロシア語、ベラルーシ語の表記上の簡単な見分け方

ウクライナ語、ロシア語、ベラルーシ語は東スラヴ語群に分類されます。これら3つの言語とも、キリル文字で書かれるため、日本人にとってはすぐにどの言語で書かれているか判別できないかもしれません。本記事では、それらの簡単な見分け方について解説します。

なお、以下ではテキストがウクライナ語、ロシア語、ベラルーシ語のいずれかで書かれているものを前提とします。

3言語のうち、2言語にのみ出現する文字

文字「і」による見分け方

ウクライナ語およびベラルーシ語では、キリル文字「і」が使われますが、ロシア語では使われません。よって、テキスト内に「і」が頻出する場合、そのテキストはウクライナ語かベラルーシ語で書かれていると言えます。

なお、キリル文字の「і」は、ラテン文字の「i」とは違う文字ですが、見分けはつきません。

文字「ы」による見分け方

文字「ы」が見える場合、そのテキストはロシア語かベラルーシ語です。ウクライナ語では、この文字は使われません。

文字「щ」による見分け方

文字「щ」が見える場合、そのテキストはウクライナ語かロシア語です。ベラルーシ語では、この文字は使われません。

なお、キリル文字には「ш」という極めて似た別の文字があり、注意が必要です。この文字は、3言語のいずれにおいても使用されます。

文字「ё」による見分け方

文字「ё」が見える場合、そのテキストはロシア語かベラルーシ語です。ウクライナ語では、この文字は使われません。

なお、キリル文字には「е」という極めて似た別の文字があり、注意が必要です。この文字は、3言語のいずれにおいても使用されます。しかしながら、文字「е」はロシア語およびベラルーシ語において出現頻度はあまり高くないので、注意が必要です。

3言語のうち、1言語にのみ出現する文字

文字「ї」による見分け方

この文字「ї」ウクライナ語に固有です。よって、この文字が見える場合はロシア語、ベラルーシ語は除外されます。

なお、ウクライナ語、ベラルーシ語で使われているキリル文字の「і」という似た文字との違いに注意してください。

文字「ґ」による見分け方

この文字「ґ」はウクライナ語に固有です。よって、この文字が見える場合はロシア語、ベラルーシ語は除外されます。

なお、キリル文字には「г」という極めて似た別の文字があり、注意が必要です。この文字は、3言語のいずれにおいても使用されます。

しかしながら、文字「ґ」はウクライナ語において出現する確立が極めて低いので、この見分け方はあまり使えないでしょう。

ウクライナにある文字「ґ」を記念するボード 出典:Wikipedia

文字「ў」による見分け方

この文字「ў」はベラルーシ語に固有です。よって、この文字が見える場合はウクライナ語、ロシア語は除外されます。

ベラルーシにある文字「ў」を記念する石碑 出典:Wikipedia

文字「ъ」による見分け方

この文字「ъ」はロシア語に固有です。よって、この文字が見える場合はウクライナ語、ベラルーシ語は除外されます。

しかしながら、文字「ъ」はロシア語では出現頻度としてはまり高くないので、注意が必要です。

出典:https://www.rada.gov.ua/news/Top-novyna/259660.html

文字「і」が見えることから、ウクライナ語またはベラルーシ語。また、文字「ї」が見えることから、ウクライナ語であることがわかる。