ウクライナの人口 2022年以降の人口の推移とその課題を解説

ウクライナが独立を果たした1991年末時点では、同国の人口は5200万人でした。1993年には過去最高の5220万人となりましたが、そこから海外への移民や経済の低迷による出生率の大幅な低下などにより人口が減少。2014年にはクリミアなどの領土の一部がロシアに占領され、さらに2022年には戦争による領土の占領と海外への大規模移民により、さらに人口が減少しています。

2022年以前の人口の推移については、以下の記事もご覧ください:

ウクライナ国家統計局によると、2022年1月1日時点でのウクライナ(クリミア半島を除く)の居住人口は4116万7335人でした。

現在のウクライナの人口の推計

IMFによると、2021年のウクライナの人口は4099万人でした。その後、2022年には3451万人に大幅に減少。また、その後も減少は続いており、2023年は3402万人、2024年は3344万人となっています。

CIAファクトブックによると、2024年のウクライナの推定人口は3566万人であり、世界43位。そのうち、男性が1750万人、女性が1815万人としています。

ウクライナ国立科学アカデミー人口統計・QOL課題研究所によると、クリミアやドンバスなどのロシアによる被占領を含むウクライナ全土の人口は2022年1月1日時点にて4200万人と推定しています。2023年8月時点では、その人口は3630万人まで減少。またウクライナの支配下にある人口は3150万人としています。

ウクライナの人口問題

ウクライナ国立科学アカデミー人口統計・QOL課題研究所によると、ウクライナにおける人口の課題および脅威として、以下の点を挙げています:

  • 人口の急速な減少:出生数に対する死亡数の超過、海外への大規模な労働移民、ロシアによる領土の占領、戦争による新たな脅威などの要因による
  • 出生率の低下:2012年は出生率が1.5だったのが、2020年には1.2まで減少。戦争の影響により、2022年以降はさらに減少。
  • 健康状態の悪化:タイムリーに質の高い医療をうけることができないことなどによる
  • 障害者の増加:特に子どもや若者における
  • 男性の早期死亡率の悪化:有害なライフスタイル、福祉レベルの低さ、医療の質の低さ、貧困の増加などによる。また2020年は平均寿命が男性66.4歳、女性76.2歳だったのが、戦争の影響により2023年は男性57.3歳、女性70.9歳に悪化。
  • 戦争による住民の大量強制移住:ウクライナでの生活の危険、不安定さ、不確実性のため。特に女性および子ども。また、UNHCRによると、戦争と領土の占領により、2022年から2023年にかけて約630万人が国を離れた。
  • ロシアによる子どもの連れ去り:ウクライナの子供が1万9000人ほどロシアに連れ去られた
  • 人口の高齢化:医療や社会福祉サービスの追加的なニーズを引き起こし、財政負担となる
  • 大規模な国内での人口移動:戦争により多数の国内避難民が発生しており、それに対する住宅・教育・医療などへのアクセスおよび質に問題が発生している。また雇用の問題もある。

上記の課題と脅威を考慮すると、同研究所は、ウクライナの人口(ロシアによる被占領地域を含む)は、2041年には2890万人に、2051年には2520万人まで減少する可能性があるとしています。

戦争によるウクライナ各州の人口の変動

ウクライナの経済戦略センターによると、ウクライナ各州の2019年12月1日の人口と、2024年7月1日の人口を比較した場合の図は次のとおりです。

出典:https://ces.org.ua/state-of-the-ukrainian-regions/

戦争の影響によりウクライナの東部、南部、ロシアと国境を接する州にて大きな人口の減少がみられます。なお、特にロシアによる州の大部分が占領下にあるヘルソン州、ザポリッジャ州、ドネツク州、ルハンスク州に関しては、ロシアによる占領下にある土地や戦闘地域では人口のデータが取れないことを考慮に入れる必要があります。

ウクライナの中部では人口の上昇が見られますが、これは国外に避難した人数以上に、東部および南部からの国内避難民を受け入れているためと思われます。また、リヴィウ州を除く西部では国外に避難した人数が、東部および南部からの国内避難民を上回るため、人口が減少しています。