2025年3月現在、日本とウクライナとの間には2つの姉妹都市協定(京都市とキーウ市、横浜市とオデーサ市)があります。本記事ではそれら姉妹都市およびその他の都市間における交流について解説していきます。
姉妹都市とは?
姉妹都市とは、異なる国や地域、文化を持つ都市同士が、友好関係を築くために結ぶ正式な協定のことです。通常、経済、文化、教育、スポーツなどの分野での交流を促進し、お互いの理解を深めることを目的としています。
姉妹都市の関係は、単に友好の証としての意味を持つだけでなく、両都市が協力し合い、互いの発展に寄与するための実務的な基盤にもなります。例えば、文化イベントや学術交流、観光促進活動、災害支援など、様々な分野での協力が行われることがあります。
日本をはじめ世界中で姉妹都市関係が結ばれており、こうした提携は国際的な友好と協力の象徴として広く認識されています。
姉妹都市:京都市とキーウ市

京都市とキーウ市(キエフ市)は、ソ連時代の1971年9月7日に姉妹都市の提携を結びました。京都市によると、提携の経緯は以下の通りです:
1958年(昭和33年),駐日ソ連大使が入洛の際,京都市長に姉妹都市提携を提案。翌年キーウ市長から書簡で正式に申入れがありました。その後,約10年間にわたって各界で親善交流が行われ,友好関係を促進。キーウ市長の京都訪問もあって更に気運が高まりました。1971年(昭和46年),京都市長がキーウ市を訪問し,姉妹都市結成宣言を行いました。
出典:https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000067506.html
提携後は時折、市長や市議会の議員団、文化交流団がお互いの都市を訪問するなど、主に文化面での交流が行われてきました。また、1980年代後半にキエフにバレエ留学し、現在ではウクライナ国立バレエで芸術監督を務める寺田宜弘さんは、京都市の出身です。寺田さんの母親が校長を務める寺田バレエ・アートスクールは、1975年からキーウ国立バレエ学校の姉妹校となっており、ウクライナにバレエの特待生を送り込むなどの交流が続いています。
ロシアによる全面侵攻以降、京都市はウクライナへの支援に積極的です。京都市のサイトによると、2025年3月5日時点で、83世帯92名のウクライナ避難民を受け入れています。また、「ウクライナ・キーウ京都市民ぐるみ受入支援寄付金」として50,809,776円(令和7年3月5日時点)、「キーウ市への寄付金」として109,864,039円(令和7年1月14日時点)が集まりました。また、2025年3月19日は京都市の京都経済センターで、ウクライナでのビジネスを目指す京都市内の企業向けのセミナーが開催されるなど、今後はビジネス面での交流も始まりそうです。
両都市の交流の象徴として、キーウに「京都公園」(парк Кіото)が存在します。ここには桜が植えてあるほか、日本式の庭園も整備されており、春にはキーウ市民の憩いの場となっています。また、公園の近くには、「京都通り」(вулиця Кіото)が存在します。


京都公園と京都通り 出典:https://ru.wikipedia.org/wiki/Улица_Киото_%28Киев%29
また、京都市には「レストランキエフ」という老舗のロシア・ウクライナ・ジョージア料理店が存在します。同レストランには名前の由来として下記の記述があります:
レストランキエフは、創業者加藤幸四郎(京都市出身)が旧満州から帰国後の1957年に東京に開店したレストラン「スンガリー」(松花江・ハルビン市内の河の名称)の2号店として 1972年に京都祇園四条にて開業して半世紀以上 前年に京都市とキエフ市が、文化交流と親善のための姉妹友好都市として提携し新店の店名は「キエフ」と名付けられました。
出典:https://www.restaurant-kiev.com/index.html
横浜市とオデーサ市

出典:https://www.ukraineportal.city.yokohama.lg.jp/
横浜市とオデーサ(オデッサ)市は、ソ連時代の1965年7月に姉妹都市として提携しました。両都市とも港湾都市である特徴があります。
横浜市のサイトによると、提携以降、市長や市民団、スポーツ団体、文化班、バレエ団などが相互訪問しています。また海外技術研修生の受け入れ、写真展の開催の実績もありました。ロシアによる全面侵攻は交流が加速しており、横浜市はオデーサに移動式浄水装置や防寒対策物資を支援したほか、オデーサのトゥルハノフ市長による横浜市会で議場演説、御術協力に関する覚書の締結、オデーサの保育園の復旧支援が行われました。
横浜市はウクライナ避難民の受け入れや支援に積極的です。避難民に対する一時滞在施設や市営住宅の提供をはじめとして、就学・日本語支援を行っています。特に「ドゥルーズィ」(ウクライナ語で「友達」の意味)がウクライナ避難民の相談窓口および交流カフェとして機能しています。出入国在留管理庁によると、2025年2月28日時点では神奈川県には166名のウクライナ避難民を受け入れています。

カフェ「ドゥルーズィ」の様子 出典:https://yokohamaukraine.com/
2025年3月1日・2日には、横浜の新都市プラザにてウクライナ企画展「写真と映像で見るウクライナ」が開催されたほか、3月2日にはウクライナ国立オデーサ歌劇場オーケストラ公演が神奈川県民ホールにて開催されました。
- 横浜市 ウクライナ情勢への対応:https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/kokusai/kokusai/shimai/2022odesa.html
- 神奈川県 ウクライナ情勢への対応:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/k2w/ukraine.html
- 横浜市ウクライナ避難民支援ウェブサイト(公益財団法人横浜市国際交流協会(YOKE)が運営):https://yokohamaukraine.com
- 横浜市ウクライナ支援ポータル:https://www.ukraineportal.city.yokohama.lg.jp
大阪市とドニプロ市

出典:https://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000608213.html
大阪市は2022年7月15日、ウクライナ中部にあるドニプロ市と友好協力関係構築に関する覚書を締結しました。覚書では、両市の相互パートナーシップの構築に向けた情報交流の促進に努めるほか、人的交流・経済交流の促進が謳われています。
2023年4月には、大阪市はドニプロ市に車両の無償提供を行いました。2024年4月には、ドニプロ市長が大阪を訪問。そこで、市長から大阪の企業向けに復興協力ニーズセミナーが開催されました。
出入国在留管理庁によると、大阪府にはウクライナ避難民が2025年2月28日現在、140名が滞在しています。
神戸市とリヴィウ市
リヴィウ市長のアンドリー・サドヴィー市長は2023年9月に神戸市を訪問しました。そこで両市長は連携・協力に関する意思確認書に署名しました。リヴィウ市は本件を姉妹都市化に向けた第一歩だとしています。

出典:リヴィウ市議会サイト
また、2024年10月には神戸学院大学内にて在神戸ウクライナ名誉領事館が開館しました。同大学の岡部芳彦教授(ウクライナ研究会会長)が名誉領事に任命されています。

また、神戸市会自民党ウクライナ友好・支援議員連盟(会長:河南忠和神戸市会議員)なども設立されているとのこと。
2023年9月に開催された「国際フロンティア産業メッセ2023」には、ウクライナ・パビリオンが設置され、SIGMA Software、Eleks、Kormotech、N-iX、Computools、Prana、Yuzhnoye design office、System Japan 5/95などウクライナ系企業が出典しました。

出展企業のロゴ 出典:https://www.city.kobe.lg.jp/a74716/677606141934.html
- KOBEウクライナ避難民支援関連情報 – ばいゆー:https://social-b.net/baiyu/support_ukraine/ ー 定期的にウクライナ文化交流会が開催されています
- 神戸市 ウクライナから避難される方への支援:https://www.city.kobe.lg.jp/a74716/shise/kekaku/shichoshitsu/international/ukraine.html
- ひょうごウクライナ避難民支援サイト:https://hyogo-ukraine.jp/