ウクライナの国産製品を増やす試み「Made in Ukraine」について

ゼレンスキー大統領は2024年2月、新たな経済プラットフォーム「Made in Ukraine(メイド・イン・ウクライナ)」の立ち上げを発表しました。本記事ではMade in Ukraineの目的のほか、現在このプラットフォームを通じてどのようなプログラムが提供されているかについて解説していきます。

「Made in Ukraine」立ち上げの目的

ウクライナは農業および鉱業で有名であり、これは原材料の輸出に経済が大きく依存していることを意味します。プラットフォーム「Made in Ukraine」を通じて、ウクライナはこれら原材料に頼った経済構造を、加工とハイテクへと変化させるのを目指しています。なぜ変化が必要かの理由として主に、国内雇用の創出、自給自足の発達、経済安全保障が挙げられています。

Made in Ukraineのサイトによると、ウクライナはGDPにおける加工産業のシェアを現在の10.3%から、OECDのベンチマークである20%まで増やしたい方針です。

Made in Ukraineの主なプログラム

出典:https://madeinukraine.gov.ua/

Made in Ukraineのプラットフォームのサイトにて挙げられているプログラムは、2025年3月現在、次の通りです:

  • ナショナルキャッシュバック ー ウクライナ産のキャンペーン対象商品を、キャンペーン参加店で購入することで10%のキャッシュバックを受け取り可能
  • 5-7-9クレジット ー ウクライナの中小企業または個人事業主向けの5%、7%、9%の低金利ローンプログラム
  • マイクログラント「Vlasna Sprava」 ー 中小企業および個人事業主の新規ビジネス立ち上げに対する補助金付与プログラム、条件を満たせば返金不要
  • 退役軍人向け「Vlasna Sprava」 ー 退役軍人およびその配偶者の新規ビジネス立ち上げに対する補助金付与プログラム、条件を満たせば返金不要
  • ウクライナ産農機具購入補助 ー リストに掲載されているウクライナ産の農機具を購入した際に、25%のキャッシュバックが受け取り可能

上記以外にも様々なプログラムが「Made in Ukraine」のプラットフォームに含まれる場合があります。

ナショナルキャッシュバックについて

出典:https://madeinukraine.gov.ua/national-cashback

参加方法は以下の通り:

  1. Diiaアプリを通じてナショナルキャッシュバックへの参加申請
  2. ナショナルキャッシュバックに対応している銀行のアプリにてキャッシュバック受取専用の口座(カード)を開設、また店頭での支払い用のクレジットカードを紐付け
  3. ナショナルキャッシュバックに参加しているスーパーなどのお店にて、ナショナルキャッシュバック参加商品を選択し、事前に紐づけたクレジットカードで決済。自動で商品の10%の金額が、キャッシュバック受取専用カードにキャッシュバック。1ヶ月あたり最大3000UAHのキャッシュバックを受け取り可能。
  4. 受け取ったキャッシュバックは、公共料金や医薬品、交通機関の支払いや軍への寄付など、特定の支払いにのみ利用可能。

注意点:

Зроблено в Україні」(メイドインウクライナの意味)のステッカー 出典:Made in Ukraineのサイト

ウクライナ経済省によると、2024年12月と2025年1月の2ヶ月間にて、340万人に対して合計7億1400万UAH(約25億7040万円、1UAH=3.6JPY換算)がキャッシュバックされたとのこと。また、キャッシュバックは課税対象ではない。

2025年3月7日時点のナショナルキャッシュバックの主な指標

  • 2024年9月から2025年1月までに総額で11億UAHのキャッシュバックが支払われた
  • 全ユーザーの57.5%は45歳未満、25.3%が45-59歳、17.2%が60歳以上
  • 全ユーザーの61%が女性、39%が男性
  • 生産者として1756社がプログラムに登録
  • キャッシュバック対象商品は369,000点


出典:https://me.gov.ua/News/Detail/973bea02-f12c-45dc-bbdf-93aa8eaa806f?lang=uk-UA&title=NatsionalniiKeshbek