2024年のウクライナ鉄道の乗客数

ウクライナ鉄道について

ウクライナ鉄道(Укрзалізниця – ウクルザリズヌィツァ、Ukrainian Railways)とは、ウクライナでの鉄道業務をほぼ全てを独占して取り扱う国営の鉄道会社です。ウクライナ全土に鉄道網を張り巡らせており、従業員数は20万近い大企業です。

出典:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=5022221561144925

ウクライナ鉄道の株式の100%は政府が保有し、指揮系統としては地域社会・領土・インフラ開発省の傘下にあります。また、ウクライナ全土を6分割して、そのそれぞれに支社を置いています。

また、2022年2月のロシアによる全面侵攻以降、ウクライナでは旅客機が飛んでいません。そのため、多くの人が国外に避難する際にウクライナ鉄道を利用しました。また、軍人や軍の物資の運搬でも重要な役目を果たしています。外国の首脳などがウクライナを訪問する際には、ウクライナ鉄道を利用することもあり、ウクライナ鉄道の名前は世界的にも有名になりました。

アメリカ政府高官のキーウへの到着の様子 出典:ウクライナ鉄道Facebook

2024年の乗客数

ウクライナ鉄道によると、2024年10月に長距離路線を利用した乗客数は230万人を記録。一番人気の路線は、リヴィウーキーウ間であり、10月だけで12万5000人が利用した。また、2024年1月から10月の長距離路線の乗車人数は2330万人であり、前年の同じ期間と比べると、12.7%の増加となった。

近距離路線に関しては、2024年通年での運行本数は37万7437回であり、前年比で5456回増加したとのこと。乗客数は約3450万人だった。

ウクライナの交通系メディアCFTSによると、2021年のウクライナ鉄道の利用者数は、長距離路線で2500万人、近距離路線で5400万人だった。また、2022年の初めには国際列車は9便だったが、2024年には20便以上に増えており、今後も近隣の欧州諸国とのネットワークを拡大する予定だという。

車内の様子 出典:ウクライナ鉄道Facebook

ウクライナ鉄道が抱える問題点

ウクライナ鉄道は大幅な赤字が続いているのが問題となっている。CFTSによると、旅客輸送における2021年の赤字は136億フリヴニャ(当時のレートで約544億円)だった。それがロシアによる全面侵攻以降、さらに悪化し、2024年は170-180億フリヴニャ程度(約612-648億円)になると予想される。また、この数値は隠れた「補助金」による補填があるとされており、実際の2024年の損失は220-230億フリヴニャを超えると見られている。

特に問題とされているのは近距離路線であり、ここでは収入が全支出の10%もカバーできていない。なお、長距離路線ではこの数値は50%以上になるが、それでもなお、大幅な赤字となっている。

これらにつながる問題点としては以下の点が挙げられている:

  • 鉄道車両やインフラの老朽化、近代化の必要性
  • 旅客運賃が低価格すぎること
  • チケットの不正販売などの汚職

ウクライナ鉄道の改革

ウクライナ鉄道は様々な課題に対応するため、2023年には長距離路線のいくつかの便にて女性専用車両を導入したほか、2024年には子供専用車両を導入しました。また、飲食などの車内販売の強化にも取り組んでいます。

また、DX化にも力を入れ、省力化を目指しています。2024年には、チケットをネットから購入した割合は86%に達しました。また、同社のアプリからチケットを購入する人は2023年の28%から、2024年は46%まで急増しました。

ウクライナ鉄道については、下記の記事も参照してください:

ウクライナを訪れる際は、周辺諸国からの列車を利用することができます。一番のおすすめは、ワルシャワからヘウムで一回乗り換えをし、キーウへと行くルートです。この場合、ワルシャワからヘウムへのチケットをポーランドの鉄道会社で買い、ヘウムからキーウへのチケットはウクライナ鉄道で買います。
ウクライナ国内の鉄道および国際列車のチケットは、基本的にはウクライナ鉄道(国鉄)のサイトまたはアプリから購入することができます。本記事では、2025年3月現在の列車のチケットの購入方法について解説していきます。