ウクライナではチップの支払いは必要?

ウクライナはソ連から独立後、徐々にチップの文化が広まっていきました。本記事では、チップをどのような場面でどれくらい支払うのが一般的なのか、解説していきます。

レストラン、カフェでのチップ

レストランやカフェなどで、自分が座った先にてウェイターに注文を取りに来てもらい、料理を持ってきてもらう場合、チップを支払うのが一般的です。その場合、注文した料理の合計金額の10%をチップとして支払えば十分です。アメリカでは20%ほどのチップ文化となっているようですが、ウクライナでは10%で十分です。

出典:https://pervak.kiev.ua/biblioteka/

レシートに提示された料金をカードで支払った場合は、机の上にチップ代を現金で置いていくのが喜ばれます。もしチップもカードで支払いたい旨を言えば、チップ代だけ別にカードで支払える場合もあります。

気をつけないといけないのは、レシートにあらかじめチップ代(サービスフィー)が含まれている場合です。レシートに「Сервіс 10%」などと記載されているの一般的です。ですので、チップ代がレシートに含まれているかいないかわからない場合は、店員に聞くといいでしょう。もし店員に不信感がある場合は、スマホのカメラの翻訳機能などで、レシートのウクライナ語を翻訳して、チェックすることをおすすめします。

レストランのレシート。 Обслуговування (サービス代)として、10%が加算されている。

また、コロナ以降は、ウクライナのレストランやカフェでは、机に印字されているQRコードをカメラで読み込むことで、メニューが表示されることが一般的になりました。食事を終えたらその画面から、Apple PayおよびGoogle Payで料金を支払うことが可能な場合があり、その際にはチップを追加して支払える場合もあります。

なお、自分が料理を取りに行き、レジで清算するタイプのレストランやカフェでは、チップの支払いは不要です。例えばプザタ・ハタ(ウクライナ料理のチェーン店)や街中の小規模なカフェやアイスクリームショップなど。

タクシーでのチップ

ウクライナでは、Bolt、Uber、Uklonなどのタクシー配車アプリが人気です。それらを使ってタクシーを使用した場合、下車した後に、アプリの画面からチップを送るかどうかの選択肢が表示されます。ウクライナではアメリカなどと違い、タクシーに乗った際にチップを払う習慣は一般的ではありませんので、基本的にはチップを送る必要はありません。

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しかしながら、スーツケースなどの重い荷物を乗せてもらうなどの、運転手にお世話になった場合、チップを送ると喜ばれるでしょう。この場合でも、10%のチップで十分です。なお、このような場合のおすすめは、タクシーに乗る前に、あらかじめ運転手に「後でチップを支払うので重い荷物を手伝ってくれないか」と伝えることです。そうすると、運転手がフレンドリーになりやすく、またタクシーから下車した際に、チップの支払い画面を見せながら支払うことで、お互い気持ちよく乗車を終えることができるでしょう。

なお、タクシーの支払いを現金で行う場合は、注意が必要です。例えば、タクシー料金が140フリヴニャの場合で、200フリヴニャ札を出すと、「お釣りがない」と言われる可能性があります。これは、本当にお釣りがないか、暗に差額の60フリヴニャ分をチップとして稼ぎたいかの、意図があります。このような事態を避ける為、現金でタクシーに乗る場合は、乗る前にタクシー運転手にお釣りがあるかどうか聞いてください。また、あらかじめ、手元に20フリヴニャや50フリヴニャなどの少額紙幣を準備しておきましょう。

ホテルでのチップ

出典:https://www.hilton.com/ru/hotels/kbphihi-hilton-kyiv/

ウクライナではホテルでのサービスに対して、チップを支払うことは一般的ではありません。ですので、ベッドメイキングをしてもらったり、ポーター(ベルボーイ)に荷物を運んでもらっても、チップを支払わなくても大丈夫です。しかし、高級ホテルでしたら、もし支払った場合は喜ばれるかもしれません。

デリバリーの際のチップ

首都キーウではGlovoまたはBolt Foodが一番人気のフードデリバリーサービスアプリです。このアプリを利用して、家まで食事などを運んできてもらった場合、チップを支払うと喜ばれるでしょう。例えば、470フリヴニャの支払いの際に、現金で500フリヴニャ紙幣を渡す時に、「お釣りはいりません」と言えば、自然なチップの支払いです。しかしながら、チップの支払いは強制ではありませんので、チップを支払われなかったとしても何も言われないでしょう。

出典:GlovoBolt Food

もし余計なコンフリクトを避けるたい場合は、フードデリバリーサービスの支払いはアプリ上から行うのが無難です。紐付けた自らのクレジットカードから自動で料金が引き落とされるので、その際に、もし希望する場合は、チップを追加で支払うことができます。

行政機関でのチップ

このような場所でチップを求められることはありません。もし求められる場合、それは賄賂の要求と見た方がいいでしょう。ウクライナは以前ほどではありませんが、残念ながらまだまだ賄賂の文化が根強く残っています。

行政機関でのお金の支払いは、通常は施設内に設置されているターミナルから現金またはクレジットカードで支払うのが一般的です。そこで発行されるレシートを行政機関に提示することで、必要な行政サービス料金の支払いとみなされます。つまり、現金で直接行政機関の職員にサービス料金を支払うことはほとんどありません(なぜなら現金でのやりとりは賄賂に繋がるからです)。

注意すること

ウクライナでの生活において、Google PayおよびApple Payがほとんどの場面で使える為、必然的に現金を使う場面が少なくなってきています。チップの支払いの場合は、少額の紙幣(20UAH、50UAH紙幣など)が必要ですので、あらかじめチップ代としてこれらの紙幣を財布に持っていると便利でしょう。

ウクライナ全土で一番普及している決済方法は、Apple Pay(iPhoneユーザー向け)またはGoogle Pay(Androidユーザー向け)です。ウクライナ全土のスーパーから小さな商店(キオスク)まで、Apple PayまたはGoogle Payで決済が可能。つまりスマホ1台あれば、財布を持つことなく生活できる水準にあります。