ロシアとの戦争が続く中、ウクライナに来る際に一番気になるのは、訪問先の安全性かと思います。首都キーウの2024年2月現在の安全性について、本記事では様々な面から分析してみます。

キーウ中心部の様子 出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Kyiv
ロシアによる全面侵攻以降のキーウ市の死傷者数は?
キーウのビタリー・クリチコ市長は戦争開始から3周年となる2025年2月24日、Facebookにて2022年2月24日のロシアによる全面侵攻以降のキーウの被害状況を発表しました。
これによると、
- 空襲警報の発令回数:1539回
- 被害を受けた家屋:1239軒
- 被害を受けた教育施設:194棟
- 被害を受けた医療施設:41棟
- 被害を受けた社会施設:17棟
- ロケットによる攻撃被害の対応に対するキーウ市救助隊の出動回数:220回
- ロケットおよびドローンによる攻撃現場に対するキーウ市緊急救助隊の出動回数:2729回
- 上記において救助した人の数:1324名(内、子供101名を含む)
- 攻撃による死亡者数:210名(内、子供11名を含む)
- キーウにて登録されている国内避難民数:42万2700人(内、子供は約6万8000人)
また、クリチコ市長が発表した上記期間内における戦争以外の統計は以下の通り:
- 婚姻数:49,783組
- 離婚数:6,705組
- 生まれた子供の数:57,606人(男の子が29,633人、女の子が27,973人、双子の数:1021件、三つ子の数:8件)
参考情報:キーウの交通事故の死傷者数は?
ウクライナの交通警察が発表する、ここ3年におけるキーウの交通事故の統計は次のとおりです:
- 2022年:死傷者数が出た交通事故の件数は1487件、死亡者数は83人、負傷者数は1648人
- 2023年:死傷者数が出た交通事故の件数は1894件、死亡者数は103人、負傷者数は2133人
- 2024年:死傷者数が出た交通事故の件数は2167件、死亡者数は107人、負傷者数は2444人
上記からわかること
2022年2年24日から続く戦争により、3年間でキーウでは戦争の直接の被害により210名が亡くなったことがわかります。なお、その期間においてキーウでは交通事故で約300人が亡くなっています。
よって、確かにウクライナではまだ戦争が続いていることにより、ロシアのミサイルやドローン攻撃で命を落とす可能性があります。しかしその可能性はキーウにて交通事故で亡くなる可能性よりは低いといえそうです。
また、キーウでは空襲警報を守り、すぐにシェルターに避難することで、自らの身の安全をさらに守ることができるでしょう。100%安心ということはありえませんが、ウクライナへの渡航および生活に関しては、冷静になってリスクを見極めることが肝要です。
なお、キーウの人口は2022年1月時点では約300万人でした。戦争開始により多くの人がキーウから避難しましたが、戦争開始当初の騒乱が落ち着いてからは多くの人がキーウに戻ってきました。また戦争から逃れた多くの国難避難民がキーウに流入したこともあり、キーウの2025年2月時点での人口は戦争開始前からは大きく変わっていないものと見られます。
参考記事:「2025年2月現在、戦時下のウクライナへ今、行くことができるのか?」